糖尿病は、慢性的に血糖値が高くなる疾患です。食物に含まれるブドウ糖は体を動かすためのエネルギーとなりますが、血液中のブドウ糖(血糖)を調整する働きを持つインスリンの分泌量が減ったり、作用が弱くなったりすると、正常にエネルギーへ変換できなくなり、血糖値が高くなります。このように慢性的に高血糖状態が続くのが糖尿病です。
糖尿病を長期にわたって放置していると、動脈硬化が進み、さらに脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる重篤な疾患を引き起こしたり、網膜症、腎症、神経障害などの合併症も懸念されます。
糖尿病は大きく“Ⅰ型糖尿病”と“Ⅱ型糖尿病”に分けられます。
何らかの要因により、インスリンが作られるすい臓のβ細胞が破壊され、高血糖状態となって発症します。若い世代に多くみられます。
食事や運動、肥満などの生活習慣の乱れによりインスリンの分泌量が減ったり、作用が弱くなったりすることで起こります。中高年の方に多い病気で、特に最近では30~50代の男性で増加傾向にあります。
糖尿病は初期にはほとんど自覚症状が現れません。そのため、次のような症状がある時にはすでに進行してしまっている可能性があると言えます。
糖尿病により動脈硬化が進行して、それが脳の血管で起こると脳梗塞や脳出血などの脳卒中の原因となります。また心臓の血管で起こると心筋梗塞などの心臓病を引き起こします。
糖尿病が進行して血管で障害が起こると、糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症という糖尿病の3大合併症に繋がります。
手足の血流が悪くなり、しびれやこわばりなどの神経障害が起こります。重度になると壊疽を起こすこともあります。
眼の血管で動脈硬化が起こり、視力の低下を招きます。最悪の場合、失明に至ることがあり、白内障のリスクも高まります。
腎臓の毛細血管で動脈硬化が起こり、腎機能が低下します。初期は無症状で、尿検査でも尿蛋白があるくらいですが、進行すると人工透析が必要になることもあります。
糖尿病の診断と治療には、最新の知識と機器が必要です。特に、血糖値そのものの数値ではなく、それがどのように変動したのか、特に“食後の血糖値の変動”に着目することが重要です。
持続血糖測定器を導入することで、食後の血糖値の変動をより詳しく把握することができます。これは治療時のお薬の選択に役立ち、また患者様に病態をご説明する際も役立ちます。
糖尿病は生活習慣病であり、治療の基本は生活習慣の改善となります。そのため、食事や運動の見直しを提案することが重要です。具体的な見直しを提案することで、患者様一人一人にベストなアドバイスを提供します。
また、糖尿病に関する情報が多く存在しますが、その中には真偽が定かでないものもあります。そのため、専門家への相談が推奨されます。当院では、サプリメントの活用や、糖や脂肪の吸収を抑える食品、ローカーボンなどをご案内します。これまでに行った研究結果をもとに、科学的根拠をもって食生活の改善をサポートします。
さらに、当院では血糖値そのものではなく、食後の血糖値の変動を最重要視して糖尿病を治療しています。そのため、お薬を処方する時も“血糖値を抑える”のではなく、“血糖値の変動を抑える”ことに着目してお薬を使い分けています。もちろん、糖尿病の治療では生活習慣の改善が何よりも大事ですが、病態によっては薬物療法も並行し、最新の知識に基づいて効果的な治療を行います。
糖尿病は、適切な治療と生活習慣の改善により、管理することが可能です。早期発見と早期治療が重要であり、定期的な健康診断を受け、異常が見つかった場合はすぐに医療機関に相談することをお勧めします。